ここ数年の間にデジタル技術は驚くべきスピードで発展し続けています。それは私たちの生活のあらゆる分野に影響を与えていますが、なかでも娯楽=エンターテイメントの世界において、より如実に現れていると言えるかもしれません。
実際、インターネットに接続できる環境であれば、モバイル一台で動画鑑賞からオンラインゲーム、趣味の習い事やそれに関するコミュニティでのやり取りなど、あらゆることが楽しめる時代になっています。そうした状況を背景に、世界中で利用者が増え続けているオンラインカジノに代表される、iGaming業界の成長が著しいと注目を集めています。
日本でもオンラインカジノのフリースピンを利用してプレイする人が出てきたり、世間でも賛否両論の話題を集めているオンラインカジノですが、ここではiGaming業界全体が世界の経済に及ぼしている影響と、その未来について見ていった見たいと思います。
そもそもiGamingとは
iGamingとは、基本的にオンライン上で賭けなどが行えるゲームを指して使われている名称です。例えば、リアルマネーを使用したライブカジノゲーム、オンラインスロットゲーム、スポーツベッティング、競馬ベッティングなどが、このiGamingに含まれます。最近では、こうしたジャンルをひとつにまとめて『オンラインカジノ』と称することが増えています。
iGamingが誕生したのは1994年とされています。この年にMicrogamingという会社が、オンラインiGamingウェブサイトを開発したのが一番最初といわれており、今でも多くのプレイヤーに愛用されているゲーム、ジャックポットスロットの「CashSplash」などが誕生しました。そして、1998年になるとPlanetPokerによって、初のオンラインポーカールームが開設されました。
驚異的な市場成長率
こうした徐々に人気を集めていったiGamingは、やがて、2000年にはその利用者数が世界で約800万人にまで増加、売上高は20億ドルを突破するほどの成長を遂げたのです。
その後もiGaming市場は拡大を続け、2010年には100億ドル、2020年にはiGamingの市場規模が596億米ドルと急激な成長を遂げており、今後もしばらくはこうした動向が続くであろうと予想されてます。
こうした流れは日本でも同様に見られています。国内でオンラインカジノなどを利用したことがある経験者は336万人、年間の賭け金の総額は1兆2400億円に上ると推計されており、日本においてもiGaming市場は、2023年から2032年までに77億米ドルから126億米ドルまでに収益が増加したという調査もあります。また、2024年から2032年の予測期間にかけて年平均成長率(CAGR)は 5.5%になるだろうとも予測されています。
各国による規制の差
このように、世界中で爆発的なまでに人気を集めていると言っても過言でないiGamingですが、ギャンブルという性質をもっているため、問題点も指摘されています。その1つが、国による規制の違いです。
アメリカでは
例えば、アメリカ。多くの人が『カジノ』と聞いて、まず抱くイメージといえば『ラスベガス』かと思います。それだけに、アメリカはギャンブル全体に対して寛容な国というイメージもあるかもしませんが、実は、州によってその認識は大きく異なります。つまり、同じアメリカでも州によって合法化されているところと、違法と扱われるところに分かれるのです。具体的には、コネチカット州、デラウェア州、ミシガン州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州、ウェストバージニア州などではギャンブルは合法として認められており、ランドカジノだけでなくオンラインカジノも合法化されています。また、それ以外の州でも、オンラインカジノは違法だったとしてもスポーツベッティングは合法としているところがほとんどです。
合法の国が多いヨーロッパ
一方、ヨーロッパでは、オンラインカジノなどのiGamingを合法化している国がたくさんあります。なかでも、イギリスでは人口の17%近くがギャンブルを楽しんでいると言われており、世界的に見ても国全体に広く普及しているため、日本国内でのようにギャンブル行為自体に対する世間的な風当たりも厳しくありません。
さらに、大手ゲーミングプロバイダーや大手カジノが本社を置いている北欧の国・スウェーデンでは、2018年にギャンブルを合法化する法案が可決されており、各カジノ事業者から18%の納税を義務化しているため、税収を生み出すとともに不正行為ができないようにシステム化されています。
このように、iGamingは多くの国で合法化されて楽しまれていますが、その一方で、運営元が現地国で合法的に運営していたとしても、そのサービスにアクセスすること自体を制限している国もあります。また、ギャンブルに関するこうした規制はその国の状況や時代の流れによって変更されることも多いため、国によっては今は合法化されていてもこれから違法とされたり、その逆のケースも充分に起こりえるのです。
eGamingとの違い
最近、iGamingという言葉とともによく見かけるようになってきているのがeGamingという言葉です。この2つはしばしば同義語として使われることもあるのですが、実際には異なる意味を持っています。
こうしたeGamingを代表するのが、近年、スポーツの一種として一気に認知度を上げている『eスポーツ』と呼ばれるジャンルです。2024年には、国際オリンピック委員会(IOC)が史上初となる「Olympic Esports Games(オリンピック・eスポーツ・ゲームズ)」をサウジアラビアの首都リヤドで開催すると発表したことでも注目を集めましたよね。ちなみに、この大会は当初、2025年開催が決定されていましたが、最近、2年延期されて2027年に開催されることが明らかになっています。
2000年代初頭前後に生まれた方ならば、ゲーム機やPCでスーパーマリオやストリートファイターといったビデオゲームをプレイした記憶があると思いますが、こうしたゲームは、現在ではインターネットとWi-Fi対応のゲーム機の登場により、どこからでも誰とでもマルチプレイヤーオンラインゲームに接続してプレイできるようになりました。そして、そこからeスポーツが誕生し、eGamingと呼ばれる業界へと発展してきているのです。
また、eGamingは、現在、世界で最も収益の高い産業のひとつとも言われており、2023年には3,500億ドルから4,000億ドルの価値があり、さらに、予測成長率によると、2030年までに業界の価値は1兆ドルに達するだろうと見込まれています。
ここまで読んで、eGamingとiGamingには大きな共通点がいくつもあるのに気付いた方も多いと思いますが、この両者を明確に分ける基準となるのが、ギャンブルの要素が含まれるか否かになるのです。とはいえ、こうした決定的な違いはあるものの、iGaming業界は常に新しいテクノロジー技術だけでなく、eGamingの要素も取り入れることで成長してきたとも言えます。結局のところ、どちらの市場もゲームエンターテインメントを中心としていることもあり、iGamingとeGamingの境界線は日々、曖昧になってきているという声もあります。





















